連載 「ハイパースペクトルセンサHISUI」 第5回 
銅、金、レアメタルなどを探したい

スペクトルを切れ間なく観測する驚異のセンサHISUI

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 酸化鉄型銅金鉱床(IOCG型鉱床)は、主成分である酸化鉄鉱物と黄銅鉱や斑銅鉱などの硫化銅鉱物でできています。この鉱床には、銅や金が含まれており、他にもコバルト、ウラン、モリブデン、亜鉛、銀、希土類元素など、数多くの鉱物を伴います。このように、IOCG 型鉱床には希少な鉱物が含まれていますが、含有率が低いことから、採掘の対象ではありませんでした。
 しかし、近年、IOCG 型鉱床の発見が相次ぎ、世界中に広く分布していることがわかりました。また、生産性も見込めるようになったことから、鉱床開発が進められています。
 今後もIOCG 型鉱床が発見される可能性が高いと考えられることや、コバルト、ウラン、モリブデンなどの非鉄金属鉱床も探査の対象となってきていることから、IOCG 型鉱床が注目されています。新たな価値が見出されたIOCG 鉱床を見つけるためにも、広範囲を一度に調査できるリモートセンシングを使った手法が求められています。

現在の研究実績

 本事例では、オーストラリアのIOCG 型鉱床を対象としました。このIOCG 型鉱床には変質帯として火山岩類を伴っており、緑泥石や角閃石、白雲母が多く含まれます。これらの鉱物のスペクトル特徴は、短波長赤外域である1520 ~ 2420nm に現れるため、この波長域のハイパースペクトルデータを使うことで、対象鉱物を抽出できると考えられます。
 今回は、取得したハイパースペクトルデータのうち、短波長赤外域の42 バンド(水に吸収される1.9 μ m 付近のバンドを除く)のスペクトルデータを解析に使用しました。このデータから連続体の除去と擬似反射スペクトルへの変換を行い、特徴的な波長の変化点とスペクトルの形状を求めます。得られたスペクトルの形状をスペクトルライブラリのデータと比較することで、鉱物の抽出に成功しました。
 この抽出結果から、変質帯との関連が強い緑泥石+ 角閃石の分布図と白雲母の分布図を作成しました。作成した分布図と空中磁気探査などの物理探査で得たデータや、リニアメント解析で抽出した断層の位置を組み合わせることで、IOCG 型鉱床有望地のポテンシャル(IOCG 型鉱床を含む可能性の大きさ) を示すことができました。

鉱物のスペクトル.jpg
期待される活用方法

<広域探査の高精度化>

 IOCG 型鉱床の地質の特徴が地域ごとに大きく異なるため、これまではIOCG 型鉱床を抽出する有効な方法の確立には至っていませんでした。しかし、ハイパースペクトルデータを使用することで、鉱物ごとに見られるスペクトルの変化のわずかな違いを捉えることができ、IOCG 型鉱床を特徴付ける変質帯の抽出が可能になってきました。
 ハイパースペクトルデータから作成された緑泥石+ 角閃石の分布図と白雲母の分布図や、IOCG 型鉱床有望地のポテンシャル図は、IOCG 型鉱床における有望地抽出の指標になりうると考えられ、探鉱への貢献が期待されます。

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