連載 「欧州宇宙ビジネス最前線」 Toulouse Space Show 2018  第五弾

本記事では、第四弾に続き、Toulouse Space Showにおけるサイドイベントの様子を紹介する。

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  • ヨーロッパには現在20あるESA BICインキュベーションセンターでは、宇宙技術とデータを促進する55社以上の若手企業を支援しており、宇宙下流産業の盛り上げを期待されている。
  • 「街のための宇宙」というセッションでは、公共バスの交通の流れをスムーズにする衛星データ活用など都市にまつわる様々な欧州域内のユースケースが発表された。

ESA BIC Sud France Renewal & ESA BIC Nord France Opening Ceremony

欧州宇宙機関(ESA) は、起業家と協力して宇宙関連のビジネスアイデアを事業化するためのビジネスインキュベーションセンター(BIC)を始動した。 このセンターでは、起業家は技術的な専門知識とビジネス開発のサポートを受けることができる。ヨーロッパには現在20のESA-BICがある。

Toulouse Space Showでは、フランスのESA-BICセンターの概要 が紹介された。 2013年以来、Aerospace Valleyによって管理されている南フランスにあるESA-BIC Sud Franceは、宇宙以外の経済分野で宇宙技術とデータを促進する55社以上の若手企業を支援してきた。このイベントは主に、ESA-BIC Sud France(リニューアル)と北フランスにあるESA-BIC Nord France(サービス開始)の両方の署名式を含む、ステークホルダー向けの公式設立イベントであった。

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署名式の後、ESA-BIC Sud Franceに所属している新興企業がビジネスを発表した。

  • O'Sol(osol.fr):モバイル、フレキシブルで誰にでもアクセス可能な再生可能エネルギーソリューション。
  • Weather Force(weatherforce.org):世界中の企業やコミュニティ向けに高品質な天気情報及び 天気アプリ開発。
  • Any Waves(anywaves.eu):小型キャリア用(キューブサットとドローン)の革新的なアンテナを設計、製造。


Space4Toulouse

Space4Toulouseは、欧州を中心とした宇宙機関や産業団体がコンソーシアムを組み、衛星データの利活用を促進しているEurisyという団体が主体となり欧州地域宇宙技術利用ネットワーク(NEREUS)、フランス国立宇宙研究センター(CNES)の協力のもと、Toulouse Space Showのサイドイベントとしてセミナーを開催された。都市化が進むにつれて、自然環境への取り組み、生活の在り方が見直されている中、Eurisyは「街のための宇宙」というイニシアティブを立ち上げ、より健康で、清潔、安全で効率的な街づくりのため衛星アプリケーションの活用を促進している。

プログラムでは、自治体から産業界など、衛星データの都市での活用例が紹介され、ボローニャ市の交通局は、公共バスの交通の流れをスムーズにするため、衛星ナビゲーションを活用した取組みを発表した。市として、公共バスの利用を促進し、サービスの品質を保証するためには、バスの正確な到着時間をユーザーに通知し、バス循環ができるだけ円滑であることを保証することが重要である。ボローニャの公共バスにはGPS送信機が装備されており、定期的にその位置を中央ユニットに伝えており、 今日現在では、1000台以上のバスが自動車両位置(AVL)システムを使用している。 中央ユニットによって受信されたメッセージは、自動的に再送信され、到着予定時刻をバス停に通知する。ボローニャは、AVLシステムによって提供される情報と、路上の車の数を監視する道路舗装の下に配置された約1000のセンサーのネットワークによって、リアルタイムで交通流に適応する街路灯システムを中心に設置している。 GPS接続で検出された信号機に近づく2分前に、バスは近くのセンサーにメッセージを送信し、中央制御ユニットが街灯の位相をリアルタイムで調整してバスに優先権を与えバスの時間通りの運行に活用している。

昨年2017年9月に宇宙システム開発利用推進機構と日欧産業協力センターで開催した「日欧ビジネスウィーク」にも参加したイタリア企業であるPlanetekにより地球観測による都市計画のモニタリングについて、イタリアのバリ市で行っているプロジェクトが紹介された。バリ市は持続可能な都市開発の管理に、「スマート性」を重要視しており、プログラムの一環で、同社は衛星データを活用した土地管理のサービスを提供している。
自治体、企業ともにSDGsなどを意識した持続可能な都市環境の構築に取り組んでおり、取組み以前、後の都市の様子をモニタリングし、衛星データを活用するアプリケーションが開発している。

全5回に渡りToulouse Space Show2018の報告を行ってきた。次回開催時には宇宙利用促進が日本でも広がっていることをアピールするためにも、今回のようなイベントにもっと国内の宇宙関連組織・企業・団体の参加が望まれるところである。

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