Toulouse Space Show

連載 「欧州宇宙ビジネス最前線」 Toulouse Space Show 2018  第四弾

本記事では、第三弾に続き、Toulouse Space Showにおけるサイドイベントの様子を紹介する。

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  • フランス国立宇宙研究センター(CNES)が運営する5大陸、60以上の都市を結ぶ国際イノベーションの創出を目的としたコンペティションActInSpaceか開催された。
  • スタートアップ向けのイベントは業界最大手の企業も盛んに参加しており、欧州でのスタートアップ企業に対する関心の高さが垣間見えた。

ActInSpace

ActInSpaceは、フランス国立宇宙研究センター(CNES)が運営する5大陸、60以上の都市を結ぶ国際イノベーションの創出を目的としたコンペティションである。 当コンペティションはESAとESAビジネスインキュベーションセンターのサポートを得て運営され、世界中の若者を対象に、宇宙技術、データ、特許、インフラに基づいた課題に取り組み、日常生活のあらゆる分野にイノベーションをもたらすことを目的としている。当初は学生向けのイベントであったが、現在では誰でも参加できる。 ActInSpaceの意図は起業家精神の育成、スタートアップの増加、宇宙技術の利用促進、市民生活の変革、雇用促進及び地球環境保護のためのデータ取得である。

Toulouse Space Showでは、招待者限定のイベントが開催され、地域別の予選を勝ち残ったファイナリストが集結し、最終選考会が行われた。最終選考会では各チームが、6分間でアイディアを発表し、審査員から実現可能性やイノベーション面などの質問がなされた。

最終選考会の参加者:

  • Wright Team Incorporate(オーストラリア、グランドプライズ賞):衛星を使用したドローン追跡システム。
  • Lycie(フランス優勝者):事故を避けるために道路を監視するスマートフォンアプリ。前方の車に近づいたり、運転手が眠くなったりすると通知が出される。
  • Insert Space / Printed Propulsion(シンガポール、エアバスイノベーション賞):機動性を向上させるために小型衛星のスラスター。
  • Ingeco (コロンビア):ESA のロケット燃料用フィルターの特許に基づく水銀用の水フィルタ-。
  • SpaceTree(エストニア/ラトビア):コペルニクスのデータに基づく林業のモニタリングシステム。
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ActInSpaceのプレゼンテーション風景

Startup Village

スタートアップビレッジは、スタートアップ企業専用の展示スペースが設けられ、ヨーロッパを始め、北米、南米、アジアを含む世界16ヶ国から未来の宇宙分野を担う企業55社の展示を行った。宇宙インフラからアプリケーションまで、宇宙分野における様々な企業が出展し、展示スペースへの訪問者も多く、設けられていた商談コーナーも終日満席状態が続いていた。

3日間の会期中、各スタートアップ企業は、ブース出展だけでなく、スタートアップビレッジの中心に設けられたステージにて製品紹介のピッチプレゼンの機会も提供されていた。プレゼンのセッションでは、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、タレス、エアバスなどの担当者が司会を務め、各プレゼンターの紹介を交えてセッションが進行し、参加者がより理解を深めながら聴講できるよう工夫されていた。

宇宙アプリケーションでも、多くの企業が参加しており、違法船のトラッキングをリアルタイムに行うunseenlabs社、洪水予報およびモニタリングサービスを行っているHD Rain社、衛星データを利用したジオマーケティングを専門にするPixstart社など、社会問題を解決するサービスを提供している企業が名を連ねた。実現技術では欧州のICT分野でも話題となっている"デジタルツイン" 関連企業のAdagos社とBoxarr社が参加していた。デジタルツインとは、次世代のモノづくりにおける重要なコンセプトのひとつであり、工場や製品などに関わる物理世界の出来事を、そっくりそのままデジタル上にリアルタイムに再現することを示す。例として工場の製造ラインや製品設計を、システム上にあたかも双子のように現実世界を模したシミュレーション空間を構築し、現実の工場の制御と管理を容易にする手法である。製造ラインなどに変更を加える場合、コンピュータ上で現実に近いシミュレーションを行うことが可能になり、将来的な衛星やロケット開発などでの利用では大幅なコスト削減が予想され、本展示会のテーマの一つである"innovation and disruptive technology"が垣間見れた。

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