連載 「新たな打上げサービス『空中発射』」 第2回 
衛星打上げシステムの種類

開拓される宇宙への新しい道

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 空中発射システムについてはこれまでにも多くの研究成果が公表されているが、日本においても1990年ごろから研究・検討がなされている。当時は旧文部省宇宙科学研究所(現JAXA/ISAS)の固体燃料ロケットM-V Liteをボーイング747に搭載する検討もあったことから、今日のヴァージン・オービット社の描くイメージは30年近く前からあったことになる。
 さらに20年が経過する中でJ-spacesystemsは、前身組織USEF時代の2006年~2008年に機械システム振興協会からの委託事業により、空中発射システムに関する調査研究を実施。2009年から経済産業省からの委託事業により、「空中発射システムの研究開発」が開始され、以降2014年まで、技術動向の調査、システムコンセプトの検討などが行われた。
 ここではこの研究内容の概要を紹介するが、詳細を知りたい方はこちらのレポートをご覧いただきたい。
 さて、本題の衛星打上げシステムの種類について紹介するが、大まかには下記の種類に大別される。

1)地上発射
2)海上発射
3)潜水艦発射
4)空中発射

 誤解を恐れずに述べていくが人工衛星の打上げ技術の開発は、安全保障技術として進歩していった歴史がある。従って上記の4つのシステムは高々度までペイロードを打上げることを追求し、効率よく低コストで運用できるシステムとして現在も生き残り、そして宇宙利用技術として転用されている。
 地上発射システムは、もはやすぐに頭にイメージを思い浮かべられるほどベーシックな存在であり、安定した条件の中で打上げられるシステムである。しいて言えば天候条件にだけは左右されてしまうのがデメリットである。
 海上発射・潜水艦発射は、陸地を離れ洋上での発射となる。海上発射は石油掘削施設や船舶を土台としたロケットの発射システムであり、1995年からZENIT3SLロケットを使用した海上発射システムの商業サービスを行っている。最近では2018年開催の宇宙ビジネスアイデアコンテスト『S-Booster2018』において、このサービスの国内事業化に向けたプランが最優秀賞を受賞した。(受賞者はこの後、ASTROCEANを起業した。現在、実用化に向けた実証実験を重ねている。)また、2019年に中国がLM-11ロケットの船上発射に成功している。
 海上発射は、洋上でのロケットの運用支援を展開するため、特に組立や整備に関連した設備周りを充実させることが課題である。
 潜水艦発射は文字通りのもので、ロシア原子力潜水艦の弾道ミサイル(SLBM)を使用した商用衛星打上げを1998年に行っている。まさに潜水艦の運用になるため、この運用コストについては日本国内の基準で推測するのはなかなか難しいが大変なものであることには違いない。fig00.png 最後に空中発射について評価すると、射場の立地条件に左右されず射点の設定に自由度がある。天候に左右されにくい。高々度からの打上げとなるため搭載するロケットは地上発射式のそれよりも小型化できる等のメリットがある。現在のボーイングなどの大型旅客機の運用を考えれば台風などの強風下でもないかぎりは離陸・飛行・着陸での制約はほとんどなく、人工衛星ミッション側が気にする軌道投入を高い精度で実現できる。1990年に登場した米国のペガサスロケットはロッキード L-1011に搭載する空中発射方式として商用運用され、実際に幾度も人工衛星の軌道投入に成功している。

 次回はこの空中発射の種類について述べる。

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