連載 「新たな打上げサービス『空中発射』」 第1回 
はじめに

開拓される宇宙への新しい道

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 2018年12月、米国ヴァージングループ傘下のヴァージン・ギャラクティック社は空中発射の実験を行い、母船「VMS Eve」に搭載した有人宇宙船「VSS Unity」を上空約1万メートルから発射した。「VSS Unity」は高度80kmを超える有人宇宙飛行を達成して地上に帰還した。
 2019年6月、日本の大手航空会社ANAホールディングス株式会社(以下、ANAHD社)が、同グループ傘下のヴァージン・オービット社とのパートナーシップを結んだことを発表した。
 ヴァージン・オービット社は、改修したボーイング747-400型機を利用し、翼下部に人工衛星をペイロードとしたロケットを搭載、これを空中で発射するサービスの本格化を進めており、7月に同機からのロケット(ランチャーワン)の切り離し試験を行いこれに成功した。
 ANAHD社はこのヴァージン・オービット社と連携し、こうした人工衛星の打上げ事業の多様化について、空港を中心とした視点で機体運用に貢献しながら、宇宙分野の活性化を促すことを目指している。

 上記2つは、最近話題となっている「宇宙利用に関する空中発射」についてのホットなニュースであることから取り上げた。人工衛星の打上げといえば地上の発射台からの発射を思い浮かべがちだが、現実には今日までに海上発射、潜水艦からの発射、飛行機からの発射等の実績があり、また人工衛星打上げの成功例はないものの実用化に向けて成層圏気球から発射する方式の実証実験を進めている企業もある。
 とりわけこの実証の進んだ飛行機からの空中発射方式は、宇宙利用業界においては今、最も注目すべきシステムであることには間違いない。
 本連載は、この注目すべきシステムに関する原理・関連技術についての解説や、今後注目される新しい方式について紹介する。

注1・・・本連載での空中発射とは、「航空機等にロケット等の飛翔体を搭載し、打上場所まで輸送した後、高々度から飛翔体を分離し、点火する方法」と定義する。

注2・・・「そらこと」を運営するJ-spacesystemsは、経済産業省からの受託により「空中発射システムの研究開発」を行っており、この調査の中で得られた知見をまじえながら、本連載を進める。

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