衛星データで、道を拓く
北海道衛星データ利用ビジネス創出協議会

2018年に命名150年を迎えた北海道。キャッチフレーズ「その先の、道へ。」にふさわしい、新たな取り組みがはじまった。

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  • 2018年、北海道で衛星データを利用したビジネス創出を行う協議会が発足した
  • 広大な土地で衛星データを利用したビジネスモデルを考えていく
  • 道庁を中心に「その先の、道へ」を体現する取り組みとなる

地元の課題は地元で解決

北海道が宇宙ビジネスに本腰を入れはじめた。都道府県を挙げての取り組みとしては山口県に続いて2番目となる。
現在、スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(以下、S-NET)をはじめとして、政府は宇宙ビジネスにおける新規事業創出に関して盛んな動きを見せている。2018年春には、内閣府・経済産業省から宇宙政策パッケージが発表され、経済政策として衛星デ ータ利活用による宇宙ビジネス事業の創出に注力していきたい考えだ。

しかし一方で、東京や大阪などから離れた経済圏には、セミナーをはじめとしたそれらの施策がなかなか行き届かないという課題もある。そこで都道府県レベルでの取り組みが徐々に始まっている。宇宙ビジネスに好機を見出しているのだ。

そもそも、土地の課題はその土地の人にしかわからない。その土地が抱える課題や問題点は「地元」だからこそ把握することができ、改善への取り組みも当事者だからこそ継続して関わっていくことができる。
欧州では既に、衛星データを利用した地方の問題解決の事例が多数出てきており、それが他地域にも波及するという流れができている。日本でも都道府県ごとにユニークな取り組みを行うのは必然だ。

広大な土地ならではの衛星データ利活用

北海道衛星データ利用ビジネス創出協議会設立のキーマンは、北海道庁の北風浩(きたかぜひろし)氏。経済産業省に出向していた北風氏は、政府の宇宙政策への取り組みに、経済発展の可能性を見出していた。北海道として取り組むきっかけになったのは2017年の宇宙産業ビジョンの発表だった。

北風「もともと宇宙利用を推進すべきと考えていましたが、宇宙産業ビジョンの発表を受けて、衛星データの活用を地域の産業政策のひとつに位置づけることの必要性を感じました。2017年、3回の準備会を経て、『北海道衛星データ利用ビジネス創出協議会』は発足しました」

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北海道庁の北風氏。かねてより宇宙利用に着目し、北海道で衛星データ利用の土壌をつくるべく奔走している。

2017年にS-NETのセミナーが札幌でも開催されたのも良いタイミングだったという。
北風「その時に講師としていらして下さった、RESTEC(一般財団法人リモート・センシング技術センター)や、北大の川村先生など、衛星データ利活用のプロの方とのコネクションが出来ました。実際に衛星データを使ったビジネスがどういうものなのか、たくさ
んのアドバイスをいただいています」

そもそも、北海道はとても広い。山林が多い本州の地形とは全く違い、農業における作付面積は圧倒的な広さを誇る。
協議会に参加されている、前出の北海道大学工学博士の川村秀憲(かわむらひでのり)先生はこう語る。

川村「衛星データは、山林や都市、いろいろなところで利用できますが、第一次産業においては、広大な土地のほうがニーズを見つけやすいです。第一産業での衛星データ利用と言えば、測位システムを利用したトラクターの自動運転、地球観測衛星を利用した作 物の生育を計る営農システムなどが挙げられますが、どれも北海道にはとても相性がいい。広大な土地を持つ北海道ならではの衛星データの活用方法があると考えています」

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北海道大学、川村先生は「広大な土地だからこそ衛星データの利活用の工夫がしやすい」と語る。

その先の、道へ。北海道と、協議会の目指す未来

協議会のメンバーは、既存事業で衛星データを活用している企業もいれば、新たに興味を持って参加する企業などさまざまだ。衛星データ利活用についての認識の深度にも差がある。

北風「この2~3年が、勝負だと思います。まずは協議会を設立したが、いつまでも協議をしているわけにはいきません。数年で成果を出して行きたいです」

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第一回目の協議会の風景。重厚な赤レンガ庁舎の中で、著名な教授を招きわかりやすく宇宙利用についての説明が行われた。

現在の目標は、1年に1件の実証実験を行うこと。そして事業化できるビジネスを生み出すことだ。
北海道は今年、命名から150周年を迎える。そのキャッチフレーズは「その先の、道へ」。
新たなビジネスに挑戦するに相応しい、力強いメッセージだ。未来に向けて踏み出した、北海道の宇宙ビジネスへの取り組みを応援していきたい。

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