宇宙ビジネスのチャンスは地域課題の中に
さぶみっと!ヨクスル in 仙台

地元活性化を行うアイデアソン『さぶみっと!ヨクスル』で人工衛星から得られるデータ利用についてのディスカッションが行われた。地元課題の解決に宇宙アセットを組み合わせ、新たなビジネスの創出を狙う。

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  • 仙台市の行政やITベンチャーなどと緊密なコミュニティを構築するさぶみっと!ヨクスル
  • 今回初めて一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構/宇宙ビジネスコートが協賛
  • 宇宙ビジネスの裾野拡大の課題は地域密着型で宇宙をもっと知ってもらうこと

地域密着型のアイデアソン

「地元創生さぶみっと!ヨクスル in 仙台(以下、ヨクスル)」が開催された。
ヨクスルは株式会社イー・エージェンシー(以下、イー・エージェンシー)が主催するアイデアソンイベントで、主要六都市に対して年2回巡業するスタイルで運営される。

今回の仙台市でのヨクスルは、初の試みとして宇宙ビジネスコートがゴールドスポンサーとして協賛し、プレゼンテーションテーマの一つとして、人工衛星から得られるデータの利用方法について紹介した。仙台市の地域課題と結びつけ、これを解決するアイデアを求め、新サービス創出に繋げることが狙いだ。

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参加者が集まり始めたイベント会場。徐々に熱気を帯び、ここから地元の課題解決への一歩を踏み出す。

5月18日の当日は、会社の業務も終わったであろう夕方18:30頃から参加者が集まり始めた。会場中央に並んだ席に参加者が座り始め、宇宙ビジネスコートのパンフレットや宇宙事業にも参入を始めたオスカー・プロモーションのパンフレットを興味深そうに眺めているのが伺える。
30人近い参加者が揃う頃、定刻の19:00となり、主催者で進行を務める株式会社イー・エージェンシーの甲斐大樹(かい ひろき)氏、五十嵐知之(いがらし ともゆき)氏が舞台に上がる。

「アイデアソンは下地作りが重要」とイー・エージェンシー甲斐氏は述べる。
甲斐「さぶみっと!ヨクスルでは、参加者の一体感を出すために毎回さまざまな工夫をしています。イベントスタートからすぐにアイスブレイクをするのもその工夫のひとつで、参加者の緊張をほぐし一体感を醸成します。そうすることで参加者はプレゼンターの話をより深く聞くことができるようになり、また互いにアイデアを出しやすい関係性が生まれます。」

「ジブンゴト」での課題解決

ハイテンションで進行する甲斐氏と五十嵐氏で突き進むのかと思いきや、途中で地元ボランティアの方へと進行がバトンタッチされる。地元の課題抽出、課題解決は地元主体だからこそ意味がある。そのためこのような進行スタイルになったと甲斐氏は言う。

甲斐「地元の方を巻き込むというのは、実は『さぶみっと!ヨクスル』というイベントを始めたころの苦肉の策でした。当初は、五十嵐と僕の二人しか担当がおらず、このプログラムを回すには手が足りなかったのです。そこで、各地域に足を運び地元のみなさまに協力をお願いしたところ、少しずつ賛同していただき、いまでは各地域で10人から20人の地元運営チームになっています。
はじめは、受付や会場準備などを手伝っていただいていたのですが、ある時、地元運営チームの方に司会をしてもらったところ化学反応が起こりました。参加者のみなさんの一体感のレベルがすごくあがりました。その時に地元主体で行うことこそ意味があるということに、気づきました。」

プレゼンテーションタイムとなり、スポンサーとなった宇宙ビジネスコートからは、プロジェクトメンバーの一人である富士通クラウドテクノロジーズ株式会社 阿部聖史(あべ さとし)氏が登壇し、「衛星データを活用し、地域社会の課題を解決したい!」と題して仙台や周辺地域の課題を、人口衛星から俯瞰した情報を活用して解決するビジネスモデルのアイデアを求めた。

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衛星データで社会課題を解決したい!と講演する富士通クラウド阿部氏

この他にも3人のプレゼンターが、それぞれの切り口で地元をよくするためのアイデアを求めた。

・アップルエールビールを造り三戸町のホップ栽培を紡ぎたい!(株式会社コー・ワークス 五十嵐 淳さん)
・ペットを飼う人が少なくなる今の時代に、人と動物の関わりを考え、より良い共生の形を提案し、共に暮らす方々を増やしたい。(株式会社プロキオン 的場 雄大さん)
・様々な年代と国籍がクロスする場所づくり・Oneness Project(村上 典子さん)

この後100個以上を目標にブレストタイムでのアイデア出しを行う。ブレストタイムは参加者同士が椅子を寄せ合い、膝が当たるほどの距離まで近づき、グループの熱量の密度が増すようように仕掛ける。

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写真は宇宙テーマのアイデアチーム。衛星データを活用したアイデアを出すため近い距離で話しあう

今までのヨクスルでのアイデア出しの最高記録は154個。20分間でどこまで出せるのか、プレゼンターと時折質問を交えながら宇宙ビジネスのアイデアを出しあっていく。

イー・エージェンシー五十嵐 「『さぶみっと!ヨクスル』の醍醐味のひとつはこのブレストを行うことです。 1人では考えつかないアイデアも多くの人と出し合うことで思いもよらなかったアイデアが導き出されることがあります。これは参加しているみなさんの年齢や性別や業種などを超えて、さまざまな背景を持った人たちが集まっているからこそ生まれるものです。
ブレストでは「批判厳禁、自由奔放、質より量、便乗歓迎」という4つのルールに則って行いますので、全員がフラットな立場で向き合うことで団結感も生まれ、更なる効果が引き出されていきます。
20分間という短い時間でのブレストですが、この20分間で発想力を爆発させてもらうために、イベント全体を通じて緊張と緩和を調整しながら集中力の照準をこのブレストに合わせています。 」

宇宙アセットと地域課題の組み合わせ

富士通クラウド阿部氏は、今回プレゼンテーションを行いながらアイデアのまとめを行った。
ブレスト後にはイベントの目標に沿って「宇宙廃墟マップ」というアイデアを発表し、会場の笑いを誘った。また、イベント後終了後の交流会でも宇宙に関心のある方からの様々な質問に答え、ビジネスの可能性についての議論の中心になっていた。

阿部
「ブレストは盛り上がりましたが、アイデアよりも質問のほうが多かった。宇宙ビジネスはまだまだ身近なものとは言い難い状況です。アイデアソンだけでなく、勉強会などのインプット機会も含めて、継続した活動を行うことが、宇宙ビジネスを盛り上がっていくことにつながると思います。」

その他の3つのテーマの良かったアイデアの発表を行い、具体化の検討を継続していくことを参加者全員で約束して閉会となった。

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参加者、スタッフ全員で健闘を称え、最後は記念写真

宇宙ビジネスの裾野拡大に向けては政府も民間も活動は始まったばかり。アイデアを創り、仲間を募ってビジネス化するために具体的にどう進めるかについて様々な手法が考えられる。宇宙ビジネスをテーマとしたアイデアソンの継続的な取り組みとその「出口」について今後も注目していく。

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