宇宙産業政策パッケージ説明会
政府政策説明に注目が集まる

2018年、政府は宇宙ビジネス促進のための施策を相次いで発表した。この春、全国の地方経済産業局で説明会が行われ、宇宙ビジネスへの参入を促したい考えだ。

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  • 経済産業省の地方局である関東経済産業局(以下、関東経産局)で行われた、政府による宇宙産業パッケージ説明会
  • 宇宙ビジネスの動向と、衛星データ利活用の概要について説明された
  • ビジネスアイデアコンテスト、リスクマネー供給の強化、ネットワーキングづくりの支援など、宇宙ビジネスを育成

政府の宇宙ビジネス支援施策、全国8か所で説明会開催

宇宙データは、地域の課題解決や、新たな産業創出に大きな役割を果たすと期待されている。技術革新が進み、宇宙データは質・量ともに向上した。これらのデータは他の地上データと組み合わせることで、様々な課題を解決するソリューションとなり、それが新たなビジネスを創出することから、第4次産業革命の担い手とも言われている。

宇宙ビジネスへの新規参入、衛星データの利活用をより促進させるためにも、内閣府と経済産業省はこの春全国8か所で、宇宙ビジネス支援施策についての説明会を行った。宇宙ビジネスに関心をもつ企業や自治体を巻き込み、より活性化させていきたい考えだ。

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2018年5月に行われた関東経産局での説明会は、早い時間に満席となった。説明会の後には担当者に質疑応答の列ができ、宇宙ビジネスへの参入機会を狙う企業が多く参加していた。

宇宙ビジネスの動向

政府では、現在1.2兆円の宇宙産業全体の市場規模を、2030年代早期に倍増させる目標を掲げている。(「宇宙産業ビジョン2030」より。http://www8.cao.go.jp/space/public_comment/vision2030.pdf)特に期待されるのは、衛星データ利用ビジネスだ。

その理由のひとつが、小型衛星コンステレーションの登場だ。小型衛星を複数機打ち上げることで、同一地点を一日に何度も撮影することが可能になった。開発費用が比較的安価であることから画像利用のコスト的なハードルも低い。また、高頻度な撮影が可能となったことから、対象の変化を抽出できるようになるなど、商用利用がしやすい形となった。
加えて、AI技術の進歩により、現在よりもさらに高度な解析も考えられる。これらのことから、小型衛星を利用した衛星データの急増と、新たな価値創造は今後も急速に進むとされている。

既にアメリカでは、OneWeb社が900機、SpaceX社においては4000機を超える小型衛星を打ち上げると発表しており、日本でもアクセルスペース社が地球観測衛星を50機、打ち上げるとしている。このように衛星データ利用の環境は日々変化している。衛星データを使って、新たなビジネスを興す動きも活発だ。 

宇宙ベンチャー育成のための新たな支援パッケージ

そこで政府では、宇宙ビジネスを行うベンチャー企業を育成するため様々な支援策を準備している。こうした支援策によって、新規ビジネスの創出を支援したい考えだ。

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宇宙ベンチャー支援の概念図。スタートアップから事業化までをサポートしていく。(出典:内閣府、経済産業省)

1.ビジネスアイデアコンテスト(S-Booster2018)(内閣府)

2017年に初めて開催された、宇宙ビジネスのアイデアコンテスト。メンターによるブラッシュアップを通じた事業化支援を行い、最終選抜会で投資家に向けたアイデア発表を行い、その後の資金調達に結び付けるのが狙い。
昨年は、ベンチャー企業だけでなく、学生や個人からもアイデアを広く募集し、応募件数は300件を超えた。
2017年の大賞は「超低高度衛星搭載ドップラーライダーによる飛行経路・高度最適化システムの構築」(松本紋子)。超低高度衛星に搭載したドップラーライダーから得られる三次元の風速データを基に、飛行機の最適な飛行経路・高度を算出、燃費を大幅に向上させるというアイデアだ。
https://s-booster.jp/

2.先進的な宇宙利用モデル実証事業(内閣府)

衛星リモートセンシングデータと測位データを利用した、先進的な衛星データ利用モデルを創出するための実証事業。衛星データと地上データを組み合わせ、ユーザ志向のサービスモデルを創出していくというものだ。2018年度は1件あたり1000万円程度、7件程度のプロジェクトを採択し、衛星データの利活用を促進していく。2017年においては、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構も参加した「衛星ビッグデータを活用した里山黄金郷創出事業」も農林水産・地方創生分野での実証モデルとして採択されている。
http://www.uchuriyo.space/model/youkou.html

3.衛星データ統合活用実証事業(経済産業省)

金融やマーケティング分野等を対象に、衛星データと地上データを統合活用することで新たなアプリケーションビジネス創出の実現を目指す実証事業。「先進的な宇宙利用モデル実証事業」との違いは、将来的なビジネスを見据えたアプリケーションの社会実装のための実証を進めるという点だ。
http://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2018/pr/ip/sangi_16.pdf

4.政府衛星データのオープン&フリー化 及び データ利用環境整備事業(経済産業省)

ビッグデータのひとつとして重要とされる地球観測衛星データをオープン化及びフリー化すると供に利用環境を整備する事業。衛星データの産業利用を推進するために、衛星データ等を、産業ユーザ利用し易いよう処理等を行い、プラットフォーム上にてアプリケーションの創出に繋げる。基本的な方向性としては、まず政府予算でプラットフォームを開発・整備し、将来は民営化していきたい考えだ。

5.宇宙ビジネス投資マッチングプラットフォーム(S-Matching)(内閣府・経済産業省)

新たな宇宙ベンチャー企業育成のため、日本政策投資銀行(DBJ)や産業革新機構(INCJ)が中心となり、リスクマネーの供給を拡大している。一方で、投資家や事業会社が、ベンチャー企業等と接する機会が少ないのも事実だ。そこで政府は、新たなビジネスアイデアを持つ個人・企業等と、投資家とのマッチングを円滑にするプラットフォーム「S-Matching」を立ち上げた。これによりビジネスアイデアを直接投資家にアピールする機会を提供するほか、投資家は早い段階から多くのビジネスアイデアに接することができるようになる。
http://www.meti.go.jp/press/2017/02/20180213002/20180213002.html

6.スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(S-NET)(内閣府・経済産業省)

S-NETは、新たな宇宙ビジネス創出のための横のつながりの支援を行うことを目的に、2016年に設立されたネットワーキング組織。全国各地でのセミナーや情報発信を通じ、宇宙ビジネスの裾野拡大を図っている。2018年度は地域のIT企業などを対象にした衛星データ講習会やグループディスカッションの機会を提供するなど、企業、大学、自治体とのネットワーキングの強化を行う。
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/dai66/siryou4.pdf

※リンクは、本記事公開時点のものです

宇宙ビジネスがこれからの日本の産業成長の要に

上記の公募を含む支援策の説明会を、全国各地で行うなど、政府としても宇宙ビジネスを日本の産業成長の要として据えたい考えが見て取れる。徹底的な「事業化」にフォーカスした施策が特徴的だ。投資機会の提供などは、ベンチャーやスタートアップにとって最も必要な施策でもある。
衛星データプラットフォームの構築など、徐々にビジネスの土壌は整いつつある。これからの仕組みを使って日本の宇宙ビジネスがどのように伸びていくのか、これからも注目していきたい。

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