S-NET東京セミナー
プロジェクト創出の現場から

民間の宇宙ビジネス参入の場を広めていく役割を担う、スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(S-NET)。東京で行われた3回のハッカソンを通じて、参加者の様子などをレポートする

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  • スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(S-NET)は、宇宙ビジネス創出のためのネットワーク創りを行う場所
  • 全国のハブとなり、1年間を通して事業創出を行う東京セミナー
  • 12件の新たなビジネスアイデアが、このセミナーを通じて生まれた

民間の宇宙ビジネス参入の場を広めていく役割を担う、スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク(S-NET)。プロジェクト組成や事業創出を目的に内閣府が主導している。参加者は基本的には、新産業・サービス創出に関心をもつ企業・個人・団体等であれば、誰でも可能であり、有識者からのアドバイスや他分野との共創などで、新規プロジェクトを立ち上げることができるネットワーキングの場として活用されている。

前回は、全国各地で開催されているセミナーとそのネットワーク網について紹介したが、今回は全国ネットワークの「ハブ」となる東京セミナーについて、参加者の声も交えて紹介したい。

東京セミナーからのビジネス創出

全国各地で行われた地方セミナーが、講演等のインプットが中心だったのに対し、参加者が事業計画まで発表するというハッカソン形式のセミナーが行われたのが、東京セミナーだ。参加者は約30名。数百人が聴講する地方セミナーとは違い、参加者がアイデアを持ち寄り、有識者からのアドバイスを取り入れつつ事業創出を行うというのが、東京セミナーのゴールだ。2017年度は3回に渡り、2日間ずつ開催され、事業化という形に向けて議論を重ねた。

有識者は、衛星データ利用のスペシャリストから、大学教授まで幅広い。
参加者からは
「自分だけでは決して出てこないような意見をいただけた」
「有識者と参加者とのつながりは、日常の業務では決してできなかったこと。参加してよかった」
など、ビジネス創出の場として、非常に有益だという意見が多く聞かれた。

イノベーションに必要な3つの要素と、環境整備

宇宙産業ビジョン2030」にもある通り、政府は宇宙ビジネスを第四次産業革命と捉えている。日本の宇宙産業・宇宙ビジネスは転換期を迎えている。衛星データをビッグデータとして捉えた時、このビッグデータが大きなビジネスチャンスを生み出すと予想される。そこで重要なのが「異分野融合」だ。異分野の業種、業態がアイデアを出し合うことで、今までは見えてこなかった新しいビジネスが生まれる可能性がある。

S-NETのブランディングアドバイザーを務める、CO-WORKS代表の飯島ツトム(いいじまつとむ)氏は、今年度のテーマは『共創(Co-Creation)』だという。

飯島「宇宙ビジネスというと、どうしても中央集権型のイメージが出てしまう。どのプロジェクトでも大切なのは「現場」です。地方セミナーでは現場のニーズ汲んだセミナー内容で開催しました。」

飯島氏によれば、イノベーションには3つの要素が必要だという。

ひとつめは、データから新しい価値を見出す「データドリブン」。大気や地形、測位などの地球観測データ(衛星データ)がそれに当たる。特に地球観測データは画像解析技術の向上により、各地域の課題解決を行うなど、地域の魅力を再発見する可能性がある。ふたつめは、「デザインドリブン」。デザインから新しい価値を見出すことだ。この場合のデザインとは、ビジネスモデル企画等を形作るという意味でのデザインだ。そして最後に、イノベーションにとって欠かせないのが「ニーズドリブン」だ。先の言葉にもあるように、市場参加型での利用拡大、ビジネス創出は、ニーズありきで進めなくてはいけない。

かつて宇宙産業・宇宙ビジネスのニーズは、新しい技術をどのように生み出すかということが課題だった。もちろん現在もその点については研究機関や大学などが世界に誇る研究を行っているが、
「宇宙ビジネスの創出」を目指すS-NETとしては、市場ニーズを顕在化させることがまず必要だと考えている。

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CO-WORKS代表の飯島ツトム氏。宇宙ビジネス・宇宙産業に必要なイノベーションのひとつである「ニーズ」が重要と説明する。

資金調達のためのプラットフォームが必要

S-NETの企画運営を行った株式会社フューチャーラボラトリ、橋本昌隆(はしもとまさたか)氏は、民間の多様なニーズにこたえるために、環境整備が必要だと説く。

橋本「今回多くのプロジェクトが出てきましたが、この流れをより広めていくためには、データプラットフォームの整備が必要です。より多くの人が使いやすい環境を整えること、そしてそれをつかって新たなビジネスに挑戦する状況を生み出すことが、今後の課題です」

そして何より「続けること」の重要性を説く。

橋本「クリエイティビティが高く、好奇心旺盛な人が集まったことで、多くの可能性を持ったプロジェクトが出てきました。今後は、それらのプロジェクトを継続していくため、投資家への引き合わせなども行い、資金建てをしていくことが必要になります」

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株式会社フューチャーラボラトリ、橋本昌隆氏。各プロジェクトの継続のための資金調達が必要という。

「東京」の役割 S-NETのハブとして

12件のアイデアは、3月20日の内閣府主催宇宙シンポジウムにて紹介される。どれもビジネスプランとしてまとめられており、事業化が可能なものばかりだ。参加者の中からは、「資金調達の機会が欲しい」とS-NETについて希望を述べる人もいた。前述の橋本氏が言うように、資金調達は事業化における必須条件だ。ぜひこの12件を事業として成功させるために、まずは一歩踏み出せる環境が整えなくてはいけない。その整備に今後期待したい。

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この中から12件の新しい宇宙ビジネスが生まれる

内閣府主催宇宙シンポジウムでのS-NET活動報告

2017年度の活動内容は、内閣府主催宇宙シンポジウムにて報告された。満席の500人が聞き入る中、2件のS-NETアイデアが12件の代表として発表された。その様子については次回レポートする。

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