ダイバーシティがもたらす
宇宙市場拡大 大貫美鈴氏

寄稿者の大貫美鈴氏は女子大文系出身。宇宙ビジネスの中で多様な価値観を取り入れて新たな価値を創造する宙女の活動とは。

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  • 宇宙商業化の進展にともない、宇宙経済圏は低軌道から深宇宙へと拡大しつつある
  • 宇宙開発においてもダイバーシティが進化している
  • あらゆる人が自分らしく活躍することが、宇宙産業の裾野を広げ、イノベーションをももたらす

宇宙商業化の進展にともない、現在、宇宙経済圏は低軌道から深宇宙へと拡大しつつあります。小型衛星の大量製造により製造革命や規模の経済が持ち込まれ、3Dプリンタの導入により、宇宙空間での製造や組み立てが始まり、月近傍・月面や小惑星における経済開発や宇宙資源利用、火星有人探査や居住まで拓かれようとしています。

衛星で取得する宇宙ベースの情報利用では、さまざまなデータと結びついて新たな価値を生み、宇宙を利用したプロダクトやサービスは新市場を創造・拡大し、私たちの日常生活の安全・安心・快適やクオリティオブライフの向上に欠かせないものになってきています。宇宙は個人にまで開かれてB to C市場を獲得することでより多彩になり、宇宙経済のランドスケープは変わりました。Space 4.0の到来とも言われ、OECDでも宇宙開発はレボリューションとイノベーションの只中にあると認識されています。

こういった宇宙産業の拡がりとともにダイバーシティがますます重要になってきました。小型衛星の利用による宇宙新興国の宇宙開発参入や、宇宙利用における国際化が進み、新たなビジネスや投資が促進されて雇用を創出しています。異業種の宇宙開発参入や宇宙ベンチャーなどの新たなプレイヤー、さらに新たなユーザーにより、多様なアイディア、視点、問題解決、そして可能性がもたらされています。これまで宇宙開発といえば「STEM(科学・技術・工学・数学)」の代表的な分野と言われていましたが、それにART(アート)」が加わり、「STEAM」が求められるまでになりました。

宇宙開発においてもジェンダー(性別)、ジェネレーション(世代)、ジオグラフィ(国籍)の3Gのダイバーシティが進化しています。私は、宇宙開発に就いた当初から約10年担当した国際宇宙大学(ISU)で、この3Gに触れる環境にありました。女子大文系出身で宇宙開発のアウェイにいることを自覚する間もなく、ダイバーシティやロールモデルを目の当たりにして、多彩な価値観に出会うことができました。ISUは現在100か国以上から約5000人の卒業生を輩出していますが、各国から参加する講師も入れると相当な数になります。グローバルな市場や異業種とのシナジーを視野に、宇宙を利用することによる宇宙経済拡大を目指したその後の取り組みに繋がっています。

現在の宇宙開発では、技術開発を超えて社会に貢献する宇宙利用が求められています。2015年に誕生した宙女が、宇宙産業におけるダイバーシティを推進し、多様な価値観を取り入れ、新たな価値を創造し、グローバルな競争力で持続可能な成長が促進できるよう、しなやかに挑戦できればと思います。あらゆる人が自分らしく活躍することが、宇宙産業の裾野を広げ、イノベーションをももたらすことに繋がるでしょう。宙女が、ダイバーシティに貢献できる活動の場になれば幸いです。

日本ロケット協会「宙女」 大貫美鈴氏

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