宇宙探査のビジネス・カンファレンス I-ISEF (後編)

産業界を対象としたサイドイベント「I-ISEF」。 後編では、宇宙探査ビジネスにおける各国の政策面での取り組みについて議論された内容をレポートする。

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  • 民間企業と政府が相互連携しながら宇宙探査ビジネスを進める
  • 経済的に大きな見返りがあるフィールド
  • 宇宙探査ビジネスのゴールとロールを決める場「I-ISEF」

宇宙探査を進めるためには、政府がシナリオを作りこれからの取り組みを明示し、民間企業の参入を促進していくことが求められる。

カンファレンスで発表された各国の取り組みを以下に紹介する。

宇宙探査ビジネスに向けた各国の取り組み

<Mohammed Nasser Al Ahbabiアラブ首長国連邦宇宙機関 長官(http://www.space.gov.ae/)

「国の宇宙技術水準が向上し、これまで行ってきた衛星を運用に加え、衛星の開発まで可能になった。2024年には、火星の探査を行いたいと考えているので、各国とのパートナーシップを強化し、宇宙産業で女性や若い人材の積極的な活用をしていきたい。」

<Robert M. Lightfoot Jr.アメリカ航空宇宙局 長官代行(https://www.nasa.gov/)

「月・火星・地球の開発を各国複数の機関と、民間企業と連携しながら開発を進めていく。現在運用されている国際宇宙ステーション(ISS)も各国の協力があり、ここまで大きなものとなった。深宇宙ゲートウェイも同様に協力しながらプロジェクトを進めていきたい。」

<Roberto Battistonイタリア宇宙機関 総裁(https://www.asi.it/en)

アメリカ航空宇宙局(NASA)との2国間の関係や、他国と連携をする中で、自国の産業を有人探査やロボット探査に生かしていきたい。
また、様々なツールやテクノロジーが必要なので、民間企業と連携しながら、進めていきたい。」

<Pascale Ehrenfreund氏ドイツ宇宙機関 Chair of the Executive Board(http://www.dlr.de/dlr/en/desktopdefault.aspx/tabid-10002/

「ドイツには、優れたメーカーがたくさんある。そのような技術力の高い民間企業と、宇宙関連企業を結び付けることで、技術のスピンイン、スピンアウトを活性化していきたい。
国としては、交流のためにワークショップを実施しており、事業を行う際には、インセンティブを付与する政策を行っている。」

<Mario Grotz氏Director General for Research, Intellectual Property and New Technologies Ministry of the Economy, Luxembourg(https://gouvernement.lu/en.html

「ルクセンブルクは、金融のイメージが強いが、宇宙分野についても昔から力を入れている。

1988年に商業衛星が初めて打ち上げられ、2005年には欧州宇宙機関(ESA)のメンバーにもなった。2016年には、宇宙資源構想を発表し、企業に宇宙から取得した資源の所有を許可する法律の草案を作成した。」

<P.G. Diwakar氏Scientific Secretary Indian Space Research Organization(https://www.isro.gov.in/

「インドでも、地球観測や地球科学などの分野が存在し、ロケットの打ち上げや衛星の製作などができる。これまでの宇宙活動は、宇宙当局が行ってきたが、現在は、民間でも活動を開始しており政府でどのようなサポートをするべきか検討している。

また、他国同様インドでも月や火星に行く可能性を探っている。」

<山川宏氏>内閣府宇宙政策委員会 宇宙産業・科学技術基盤部 会長

「宇宙開発を行う際に、ロケットの離発着などの、方法論が確立しているいわゆる「枯れた技術」と宇宙探査のような予測が難しいことに対応ができるよう、探りながら技術を生み出していく「新しい技術」が両輪となって活性化する必要がある。

日本政府としてもその音頭を取り、枠組みを作っていくつもりである。」

<Silvio Sandrone氏Vice President Advanced Projects and Products Airbus Defence and Space(https://www.intelligence-airbusds.com/

「産業革命は、鉄によって生み出された。

宇宙資源開発においては、開発した資源を、宇宙で使ってしまおう。地球の資源が減る訳ではないので、誰にも止められなくなる。

探査を通して様々な発見がある。そしてその発見が無くなったら次は利用、そして他分野への展開と進んでいく。市場を開くためには、国家がサポートをする必要があるが、ある転換点を超えたら、民間への委託が必要だ。」

宇宙探査ビジネスのゴールとロールを決める場
I-ISEF

宇宙開発には、コストも時間も莫大にかかる。

しかし、汎用性の高い希少資源の開拓や、科学技術の進歩、生命の理解など、宇宙開発による社会経済や文明に与える影響は計り知れない。

幾多の困難を乗り越え、1957年に世界初めて人工衛星が打ち上げられてから約60年が経った現在、人工衛星は社会のインフラとして我々の生活を支える欠かせない存在になった。このように月の開発、深宇宙の探査も人類の未来に大きな影響を与えることは間違ないだろう。

今回のI-ISEFは、民間企業が宇宙探査ビジネスに参入する手がかりとなる事例を交換することで、今後の参入を考えている他産業への確かな「道しるべ」となった。

また各国の宇宙政策の方針を共有し合うことで、より平和的な協力的関係を組み、開発を進めていくことができるのではないか。

政府の役割として、宇宙探査のシナリオが民間企業から求められる中、「Moon Village」や「深宇宙ゲートウェイ」など月開発の構想が提唱され、目指すべき方向に具体性が増してきた。

2つの構想実現に向けて、定めるべき制度や法律、乗り越えるべき技術的な課題も決して少なくはない。

様々な国や民間企業が手を取り合い、課題を一つずつ解決し、技術を向上させながら進めることで、我々の社会に大きな影響を与える日が来ることを期待したい。

I-ISEFの翌日に行われた、各国閣僚級会合(ISEF2)の成果文書を以下に掲載する。

ISEF2 成果文書

共同声明(http://www.isef2.jp/jp/pdf/1-2.pdf
国際宇宙探査に関する東京原則(http://www.isef2.jp/jp/pdf/2-2.pdf
運営規約(http://www.isef2.jp/jp/pdf/3-2.pdf

月に一度、宇宙開発や宇宙ビジネスに関する
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