宇宙探査ビジネス・カンファレンス I-ISEF (中編)

産業界を対象としたサイドイベント「I-ISEF」。中編では、今、注目を集める月開発のビジネスと他産業からの連携の可能性についてレポートする。

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  • 民間企業がビジネスチャンスを求めて月を目指す
  • 民間が企業が持つの技術を月開発に生かす
  • 民間宇宙探査におけるビジネス上の機会と課題

現在、民間が主体で行っている宇宙ビジネスと言えば、ロケットの開発や打上げ、人工衛星から得られるデータの利活用などを代表とする「地上系ビジネス」や、国際宇宙ステーション関連事業、宇宙旅行などの「宇宙空間系ビジネス」だろう。

しかし、これまで政府が主導で行ってきた宇宙探査、中でも月開発というフィールドにおいて、民間の参入が始まったのだ。

民間企業による月開発の夜明け

「人類に利益を与える技術」の開発を促進することを目的として、「賞金コンテスト」を運営している非営利団体であるXPRIZE財団

そのXPRIZE財団が「民間が開発した無人探査機」で月面を探査することを提案し、2007年に「Google Lunar XPRIZE」がアメリカでスタートした。

全チーム、期限内の打上げができず、勝者のないまま本コンテスト自体は終了したが、エントリーをしていた日本のベンチャー企業である、株式会社ispaceHAKUTO)には多くのスポンサーがつき、100億円の投資が集まった。

ベンチャー企業としては、類を見ないほど大きな金額を動かすきっかけを作ったXPRIZE財団は、技術開発の促進だけでなく、知名度を上げるという点でも大きな功績を残した。

IMG_5153_2.jpgGoogle Lunar XPRIZEで、世間の注目を集めたローバー「SORATO」も展示されていた

月資源を使った地産地消

今後、宇宙探査を進めていく際に課題となるのが、地上からの打上げだ。
現在大型のロケットを打上げる費用は、1回あたり約100億円ともいわれ、また打上げるまでにも多くの時間を要する。

そこで考えられたのが、月面に宇宙飛行士の滞在や、ロケット、ローバー等の保管ができる基地をつくり、深宇宙探査の拠点とするMoon Village構想である。

欧州宇宙機関(ESA)が提唱し、全世界の国や企業に対して参加の呼びかけが始まっている。基地の建設方法は、月面の土壌を材料とし、3Dプリンティング技術を使って基地を作る。いわゆる、月での「地産地消」だ。

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レゴリスと3Dプリンターを使って、月面基地を作る

アメリカ航空宇宙局(NASA)からは、月上空に設置される宇宙ステーション「深宇宙ゲートウェイ」の構想が発表された。各国で宇宙探査の拠点として、月の開発計画が進められているようだ。

宇宙探査ビジネスに広がる民間参入のチャンス

日本にも、月の開発をビジネスチャンスと捉え、積極的に参加する民間企業が存在する。

株式会社大林組(http://www.obayashi.co.jp/)

宇宙エレベーター建設や、レゴリスを活用した月面基地の建設を構想している。

ミサワホーム株式会社(http://www.misawa.co.jp/)

60mのブリザードが吹く南極にて、基地を作った経験があり、極限状況で基地を作るノウハウを生かして業界に参入を狙う。

Made in Space(http://madeinspace.us/)

AMFという宇宙空間で使用可能な3Dプリンターを持っており、月での地産地消を促す。

Spiber 株式会社(https://www.spiber.jp/)

世界一強靭な繊維と言われる、人工クモの糸を使用し、ファッションブランドのNorth Faceと共同で石油原料を一切使わない宇宙服を作った。

株式会社タカラトミー(http://www.takaratomy.co.jp/)

小型昆虫型ロボット100台を生産し、月面探査に活用。地上ではおもちゃとして販売をし、子ども達に宇宙を目指す夢を持ってもらう。

資生堂グローバルイノベーションセンター(http://www.shiseidogroup.jp/)

宇宙での長期滞在による精神的なストレスの軽減対策として、リラクシングスキンケアやフレグランスを開発した。

ANAホールディングス株式会社(https://www.ana.co.jp/group/)

アバターロボットを医師などが操作をすることで、宇宙空間でも医師による治療が受けられる環境を作る。

Moon Village Association(https://moonvillageassociation.org/)

多くの人が集まるMoon Village構想の運営を行う。

民間宇宙探査ビジネスにおける機会と課題

月の開発がスタートし、様々な民間企業による宇宙探査ビジネスへの参画が始まった。

しかし、開発の速度を上げていくにはさらなる民間企業の参加が必須である。今後の宇宙開発の方針をしっかりと明示し、メリットを伝えていくこと。
そして法整備などの規約や制度を整えていくことが必要になってくるだろう。

宇宙探査における必要な制度とは、いったいどのようなものだろうか。

後編では、各国の政府機関関係者による宇宙探査における政策や取り組みをレポートする。

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