衛星データで地元創生?
「さぶみっと!ヨクスル」が考える宇宙データと課題解決

地元創生プロジェクト「さぶみっと!ヨクスル」。自走型の地元創生として注目されるこのイベントと宇宙ビジネスコートがコラボレーション。地元の課題解決と宇宙ビジネスの関係性とは?

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  • 地元創生アイデアソン「さぶみっと!ヨクスル」が宇宙ビジネスをテーマにする
  • 大阪、仙台などで開催
  • 宇宙アセットが地元の課題を解決する未来へ

地元創生プロジェクト「さぶみっと!ヨクスル」

地方創生という言葉は、もはや聞いたことがない人がいないくらい、盛んに言われるようになった。人口が都市部に集中する一方、地方は人口減少をはじめとしたさまざまな課題を抱えている。
都市機能システムが緩やかな地方は、その土地の「不便さ」も際立つ。その不便さをあきらめとともに受け入れるのではなく「もっと良くしていこう」というのが地方創生だ。

株式会社イー・エージェンシー(以下、イー・エージェンシー)には「地元創生プロジェクト」として「さぶみっと!ヨクスル」(以下、ヨクスル)がある。後述するが、このやや聞き慣れない「地元創生」という言葉こそ、ヨクスルのキーワードになっている。

ヨクスルは、この夏、宇宙ビジネスコートとタッグを組んで、課題解決の一手段として衛星データ利用を提案した。5月にも、仙台で宇宙利用をテーマにした課題解決についてアイデアソンを行ったばかりだ。なぜ宇宙ビジネスコートに「地元創生」のチャンスを見出したのか。イー・エージェンシーの甲斐大樹(かい ひろき)氏、五十嵐知之(いがらし ともゆき)氏に話を聞いた。

地元の課題は地元で解決、自走するコミュニティ

ヨクスルでは「地方創生」を「地元創生」と言う。地方というのは、都市との対立項にあたる。創生したいのは「都市ではない」というだけの「地方」ではなく、参加者が愛着を持つ「地元」だという考えからだ。

五十嵐「課題解決、問題解決と言いますが、実際に取り組むとやはり困難はつきものです。都市部の企業なども地方創生に参加しますが、そこにある課題は地元愛がある、地元の人が解決に取り組むのが一番いい。当事者意識が強いからこそ、困難があっても熱意をもって進むことができるからです」

ヨクスルのイベントは、北は札幌から、南は沖縄まで、全6都市で開催している。そこで進めているのは、地元を「ヨクスル」ためのコミュニティ形成だ。
ヨクスルで特徴的なのは、講演者もファシリテーターもすべて地元の人がつとめることだ。イー・エージェンシーの二人は、運営サポートという一歩引いた立場で会をサポートする。

甲斐「当初、私たち二人ですべて行っていましたが、やることが多すぎて人手が足りなくなってしまって。苦肉の策として、地元にいらっしゃる方にお手伝いをお願いしたのです。ところがこれでヨクスルが変わった。彼らは「お手伝い」ではなく「ジブンゴト」として会を運営してくださったのです」

五十嵐「熱意も違いました。僕たちが壇上で何か話すときよりも、彼らが話す方が「自分たちがこの地域をよくするんだ」と、会場の気持ちがひとつになった。やはり地元に関することは、その地元の人にお任せするのが一番だと、改めて感じました」

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左から、五十嵐さん、甲斐さん。全国で「さぶみっと!ヨクスル」を展開するチームメイキングの力は、息の合ったコンビネーションから生まれている。

プレゼンからプロジェクトの自走までをサポート

こうしてヨクスルは、地元の人がファシリテーターとプレゼンター(講演者)を務めるという様式が確立した。一方、イー・エージェンシーの二人は、プレゼンターのサポートも行う。プレゼンターは、課題を持つ人が「こんな課題を解決したい」と発表する、いわばプロジェクトの発起人だ。

甲斐「課題を短い時間で、壇上でプレゼンするのは、実はとてもスキルが要ります。プレゼンに馴れている人ばかりではないので、それについてはテレビ会議などを通じて、2~3回ほど、レクチャーする機会を設けています」

3回ほどフィードバックを行うと、驚くほど端的に要点を示したプレゼンができるそうだ。「短くてもプレゼンに一番大切な熱意は全く問題なく伝わります」と二人はうれしそうに笑う。

毎回3~4人のプレゼンターが登壇、その課題に魅力を感じた人たちがグループに分かれ、短い時間でアイデアブレストを行う。20分で100個というからなかなかのスピードだ。そうして出てきたアイデアを発表する中で、参加者はプロジェクトメンバーになるかどうか、決めることができるという流れだ。

宇宙という題材をどう扱うか

宇宙ビジネスを課題解決に活かせないかという話がでたとき、「正直、戸惑った」と甲斐さんは言う。

甲斐「宇宙ビジネスというと、どうしても「宇宙」という単語に意識がいってしまって、初めはロケットや衛星の打ち上げのシーンをイメージしてしまいました。ところが話を聞いていくうちに衛星データとはつまりビックデータということに気付いたのです」

五十嵐「ビッグデータ、データ利用というと、ぐっと身近になります。もちろん解析するのには専門のスキルが必要ですが、このデータとこのデータを使えばこの課題を解決できるのでは?というヒントにはなりますね。データを使って状況を把握し、課題を解決するというやり方は、アイデアソンとしてはまだまだ慣れない部分もありますが、魅力的なツールなのでぜひ活用していきたいです」

「宇宙」という壮大な言葉を前にしても、二人は冷静だ。

甲斐「地元創生は長期スパンで考える必要があります。宇宙ビジネスは現在とても盛んにいわれていて、今後も長期的に、非常に盛り上がりを見せるのではないでしょうか。それまでに宇宙アセット、衛星データというものが有用なツールであるということが、参加される方々に浸透していけばよいなと思います」

五十嵐「宇宙コミュニティとして、参加メンバーが自走できるようになればうれしいですね」

実際に、既に大阪と仙台で、宇宙ビジネスのアイデアを募集したところ、非常に活気あるブレストが出来たという。

甲斐「会が終わった後の懇親会でも、プレゼンターである宇宙ビジネスコートの方の周りに質問者が途絶えませんでした。ビッグデータのひとつとはいえ、やっぱり宇宙という言葉は人を惹きつけるものがあると思います」

衛星データ単体で何かが実現するわけではない。衛星データはあくまで宇宙視点での観測データだ。俯瞰して視ることができることに、強みがある。そこに地上の様々なデータを掛け合わせて、裏付け、意味づけをしていく。データは、課題解決のひとつのツールとして利用するものだ。どういう文脈でデータを活用するかは、課題ありきだ。

「もっとよくしたい」というところから、ビジネスが始まる。その小さなビジネスの芽に、衛星データというツールを使うことで、大きなうねりが生まれるかもしれない。これからの「さぶみっと!ヨクスル」の活動から目が離せない。

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